映像と地域のPR・コミュニケーションの可能性

 

映像の先にいる視聴者に、地域の魅力をどう届けたいのか。映像を通じて視聴者が「地域と出会うきっかけをつくること」にどこまで意識をむけることができたか。この2点が、柿次郎さんと重松との会話のなかで、企画を評価する重要なポイントとして浮かび上がってきました。

 

今回グランプリを受賞したくろやなぎさんは、地元のおばちゃんたちのキャラクターを活かしたコンテンツとだれもが真似しやすいフレームワークによって、地域の内外の人たちを動かし展開していく壮大な計画を描きました。これは、より多くのひとに地域を知ってもらいたい「今の多可町」にとって、大きな価値のある企画だったといえるでしょう。

 

また、たった2泊3日という滞在期間で、5名の作家全員が多可町という土地を自身の作品テーマとして昇華できていたことは、今後に向けた多くの可能性を示唆しています。ひとりひとりの作家には、見知らぬ地域のなかにある「輝けるもの」を見いだし伝える力が充分にあるのです。

 

地方創生がさかんに叫ばれるなか、すべての地域が潤沢なPR予算を確保しているわけではありません。莫大な予算をかけた地域PRムービーが話題になる中、小規模な制作予算・チームによるPRムービーづくりは、まだまだ発展の余地が残されている領域ともいえます。

 

今回の多可町のプロジェクトに続いて、さまざまな地域でクリエイターが入り込み、ユニークなPRプロジェクトの事例が増えていくことを期待せずにはいられません。

 

そして、グランプリを受賞したくろやなぎてっぺいさんによる多可町公式PRムービーは、2017年4月に公開予定です。ぜひ楽しみにお待ち下さい!