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多可町について
多可町(たかちょう)は兵庫県の中央部にある、2万2千人が暮らす山里。
2005年に3つの町(多可郡中町、加美町、八千代町)が合併してうまれたあたらしい町です。「関西百名山」にも数えられる笠形山、霊峰・妙見山、千ヶ峰といった山々に囲まれています。ゆたかな自然と人々が共存している、くらしやすい環境が自慢です。
他所のあたりまえは「ない」
けれど、ここにしかない出会いと体験が「ある」
便利なスーパーマーケットやショッピングモールはないけれど、オカンのあったかいお惣菜が買える「田舎のコンビニ」がある。ゲームセンターがなくても、登山にキャンプ場、アスレチックと自然を活かしたレジャーが満載。
なにより、澄んだ空気とおいしい水、山々と棚田が織りなす「日本の原風景」がここにはあります。
多可町では、老若男女さまざまな「おもろい人たち」「アツい人たち」が、自分たちの手で「やりたい仕事をつくること」を実践しています。ちょっと自由でバイタリティあふれる町のオトンやオカンの生きざまからは、日本の地域コミュニティがこれからを生き抜くためのヒントが見つかるかもしれません。
そんな多可町のSUGOI人々をほんの少しだけご紹介します。
Illustration by sho miyata
行列ができる太巻きを生んだ、パワフルオカン
山里に毎朝できる行列。その向かう先にあるのが、「マイスター工房八千代」の「天船巻き寿司」です。
この場所を立ち上げ、ほとんどすべてのメニュー開発に携わっているのが、施設長の藤原さん。「勘ピューター」と「ベロメーター」があるからレシピのアイデアが次々と浮かぶのだと、カラカラと笑う豪快なオカンです。
人気の「天船巻き寿司」は、新鮮なきゅうりまるごと半分と、椎茸佃煮、厚焼き玉子などが入っています。その人気ぶりは地域外にも広がり、今では年商2億7千万を売り上げています。
もともと「マイスター工房」は、スーパーやコンビニのない地域で「惣菜を買いたい」という人たちの要望に応えて惣菜の販売を始めました。オカンの元気とアイデアがつまった、「田舎のコンビニ」として、人々に愛され続けています。
脱サラして「播州百日どり」を育てるロックなオトン
会社勤めをやめ、ブランド鶏「播州百日どり」の飼育をはじめて9年目の石塚さん。「趣味やロマンでは、メシは食えない」と語ります。
通常は50〜80日程度で出荷される鶏を、より旨味のあるしっかりした肉に育てるために100日間育てるのが「播州百日どり」。通常の養鶏よりも手間がかかるうえ、より多くのエサ代が必要です。
生き物を相手にする畜産業は休みがなく、その年ごとの天候にも大きく左右されます。石塚さんは、これまで台風で鶏舎が水没したり、卵から育ててみた雛鳥がダメになったりと数々の憂き目にあい、何度も挫けそうになりました。そのたびに支えてくれたのが、家族や地域の養鶏家の先輩たちです。
経験をつみ、いまでは鶏の機嫌がわかるまでになった石塚さん。オフの日には、息子と一緒にロックバンドのライブに行くのが、ささやかな楽しみです。高齢化が進む多可町の養鶏業界のなかで、いかに「播州百日どり」を次の世代に伝えていくか。熱く使命感に燃えています。
「播州織」で世界へ! 若旦那6人組がユニット結成
播州織は、多可町と西脇市にまたがる北播磨地域で作られる織物のことで、220年もの歴史を持ちます。杉原川の清流を活かした糸染めと熟練の技術の織りによる、あざやかな色と肌触りの良い生地が特徴。チェックやストライプ、ドットといった織柄の美しいことから、国内産のシャツの70%に使用されているほか、海外の有名ブランドでも採用されています。
そんな播州織メーカー6社の20〜30代の次世代リーダーたちが結成したのが「Banshu-ori Next Japan(BNJ)」というグループです。
これまでは、商社からのオーダーで生地を作り続けてきた各社。BNJでは、それぞれのメーカーがデザイナーとオリジナルの生地やシャツなどの完成品を手がけ、それらをBNJブランドとして発信することで播州織の認知を広げていこうとしています。自社製品の開発や直販サイト立ち上げなどは各社ごとの取り組みとして積み重ね、ときに6社が結束して国内外の展示会に出展するという形で、個別でもチームでも柔軟に活動しています。