FINALIST
ファイナリスト
ぼくは多可町のテレビマン
松岡真吾
コンセプト
多可町のテレビ局「たかテレビ」のひとりの職員が主人公のモキュメンタリー*映像企画。
たかテレビの男性社員(アダチさん)が、多可町PRムービーの企画・撮影を一任される設定。
棚田や神社、清流など、多可町ならではの景色をバックにカメラを担いで走り回るアダチさんは、多可町の人々の素顔と日常、どの町にもないオリジナルな文化をカメラに収めていきます。
3分間Verでは、多可町を撮影するアダチさんの姿と、そのカメラに記録されていった映像を交錯させる編集で、実在感と手触り感のあるドキュメンタリーテイストに仕上げます。
30秒Ver.は、上記3分間の作品世界の中で「アダチさんが撮影した素材を編集したもの」という設定。作中世界の設定で言うと、この30秒間Ver.が「多可町PRムービー」であり、3分間Verはそのメイキングドキュメンタリーという設定です。(実際の全行程の撮影・編集はアダチさんではなく作家が行います)
3分間Ver.と30秒Ver.でストーリーは2パターン違うものができるが、両方を観たときに互いの世界観がつながってくるおもしろさを狙います。
*モキュメンタリー:ドキュメンタリー風の映像。架空設定のドキュメンタリー、ドキュメンタリーに見えるフィクション
ストーリー
夜、たかテレビ局内でひとり、映像の編集作業をする男。「多可町PRムービー」編集画面にズームすると、棚田を背景に、カメラを担ぎ歩く男性。メインタイトルイン。
「ぼくは多可町のテレビマン」
アダチさんナレーション(NA)
「多可町のPRムービー作れ、って言われて。
いや、たしかにテレビ局に勤めてますけど、そもそもは役所の人間なんで。
映像のプロってわけでもなくて。弱ったなと」
NA「そんで、店とか人、ってなると、マイスターのオバちゃん達はパンチ効いてるなーと。パワフルで」
アダチさんのナレーションと共に、マイスター工房の巻き寿司や厨房で活き活きと働く人々、播州織工場、書家のごとうみのるさん、杉原紙研究所、播州ラーメンの「タッチャン」、喫茶「マスカレード」など、多可町の名物といえる人・場所をつぎつぎと取材します。
神社や大樹も撮影し、境内を駆け、橋を駆け、古墳などの色々な景色をカメラに収めます。
NA「あと多可町って、神社や寺が妙に多いんですよ。なんででしょうね。
どれも立派なつくりしてて、そういうの好きな人がわざわざ来たりもしてるみたいですね」
場面がかわり、マイスター工房八千代にて多可町PRムービーの完成披露会の場。集まった市民たちがお酒も進んで楽しそうです。
NA「これからも、カメラを背負って走って、今の多可町の姿を追って、
町の人にも、町の外の人にも伝えていきたいですね。終わりがなさそうですけど」
NA「この調子だと、年とってカメラ担げなくなるまでは、
ぼくは多可町のテレビマンですね」
ラストカットは、少し照れくさそうなアダチさんの表情で締めくくります。
松岡真吾 / 映像作家
岐阜県岐阜市出身。広告制作会社勤務を経て、東京多摩エリアの地域出版社・けやき出版に入社。東京23区外の街の人々やスポットにまつわる記事の企画・取材・執筆を行う。 編集業務と並行しながら、友人のデザイナー / ミュージシャンと共に東京 30 市町村の街の映像を 記録し配信するシリーズ『La Vie Landscape Archives』を開始。紙媒体と映像のそれぞれを行き 来しながら街の魅力を発信する。MV・ライブ映像なども手がける。